2025年10月– date –

– 余白をつくると、色と匂いが戻ってくる。 午後の光が、机の上にやわらかく落ちている。カップの湯気がゆらいで、窓の外では風が小さな葉を揺らしている。だけど、机の端にあるスマホが、ほんの少し震えた瞬間。その静けさは、すぐにどこかへ消えてしまう...

– くずれる前に、そっと整える。 雲が厚くなる。空気が重たくなる。まだ降っていないのに、体と気分が先にくずれそうになる日があるよね。「今日は、何をしてもだるいかも…」そんな朝。少しだけ、準備をしよう。予報を見るように、心とからだにも“予報的や...

– 映り込みが、現実をやさしく二重にする。 静かな午後、コップの水面に窓の青がゆらいで、部屋の白壁に小さな光が跳ねた。同じ景色なのに、ガラス越しに見るだけで、世界は少しやわらかくなる。水・ガラス・金属に宿る「映り込み」は、現実をそのまま写す...

– まだ街が起きる前、風だけが先に行く。 🌆夜と朝のあいだ。空がほんの少しずつ白みはじめるころ、街はまだ眠っている。ビルのすき間をすりぬける風だけが、先に今日を始めているように感じる。 コンビニの灯り、まだ閉じたカフェのドア、道端の植え込み...

– 一滴のアロマが、遠い風景を連れてくる。 🌫️ふとした瞬間に、なつかしい香りがよみがえることってあるよね。雨あがりの道の匂い、誰かの残した紅茶の香り。その一瞬で、もう忘れていたはずの時間や、胸の奥に眠っていた気持ちが、やわらかく顔を出す。 ...

– 夜更けの湯気が、こころをやわらげる。 夜が深まり、街の音が遠ざかるころ。キッチンにひとつだけ灯りをつけると、湯を沸かす小さな音が、心の奥にしみていく。窓の外には、月の光が静かに差しこんで、まるで夜が「おつかれさま」と言ってくれているよう...

– ミクロの景色に、やすらぎの深さを見つける。 朝の光がまだやわらかく、空気の湿り気が残る時間。ベランダの片すみに置いた小さなトレーの中で、苔がそっと息をしている。霧吹きの水が降り注ぐと、細かな葉の先に丸い雫が宿り、まるで小さな森の中に朝露...

– 冷えた空気と静寂が、こころの拍を整える。 🌫 夜が更けて、部屋の空気がすこし冷たくなるころ。外の世界は静まりかえり、耳をすますと「なにも聞こえない」という音が、ゆっくりと部屋の中に満ちていく。 この“無音”の時間は、じつは特別な音楽みたいな...

– 過去と未来の境目で、心がゆっくり歩き出す。 夕暮れの色が、少しずつ夜へほどけていく。街の音が遠のいて、風の匂いだけが近くなる。この境目の時間に立つと、世界は止まって見えるのに、どこか深いところでは静かに流れているのを感じる。「いま」とい...

– 誰も見ていないところで、静かに輝いている。 夜空を見上げると、たくさんの星が瞬いているように見えるけれど、その中には、もう光を放っていない星もある。 私たちは、何千光年も前に放たれた光を、いまここで見ている。その事実を思うと、「見えない...