2025年10月– date –

– 映し出された影は、もうひとつの可能性。 朝、鏡の前に立つ。まだ少し眠たげな顔がそこにあって、髪を整えながら思う。「今日の私は、どんな顔をしているんだろう」 鏡を見るという行為は、ただ“姿”を確認するためだけのものではないよ。そこには、心の...

– 何も動かないようで、すべてがめぐっている。 静かな朝、カーテンのすき間から光が差し込む。時計の針の音も、外のざわめきも遠く感じて、まるで世界が一瞬だけ止まっているような時間。 けれど、よく耳を澄ますと、風がどこかで枝を揺らし、心臓は静か...

– 去っていくものが、まだここにいる。 夕暮れの空を見上げると、鳥たちがゆるやかに列をなし、遠くへと飛び立っていく。羽ばたきの音はすぐに消えてしまうけれど、そのあとに残る空気の揺らぎだけは、なぜか胸の奥に響いている。去っていくものがあるたび...

– 忘れたはずの声が、ふと胸をふるわせる。 風が頬をなでた瞬間、ふと胸があたたかくなることがあるよね。どこからか、懐かしい香りが漂ってきて、忘れていた誰かの声が心の奥で小さく響く。 「あの人と歩いた道も、こんな風が吹いていたな」そんなふうに...

– 残せなかったものが、やさしさに変わる。 夕暮れの海辺を歩いていると、砂の上に足あとが並ぶ。さっきまで確かにあったその形は、ゆっくりと波にさらわれていく。音もなく、静かに消えていく足あと。 その瞬間、少し切ないようで、どこか心がほどけるよ...

– 暗闇の中で、光がほんとうを映す。 夜、部屋の灯りを落として、小さなキャンドルを灯してみる。その炎はゆらゆらと揺れ、壁に淡い影をつくる。光と影が重なり合い、ひとつの景色をつくっている。 そのときふと気づくんだ。私たちの心も同じように、光と...

– 宇宙の静けさが、心をひらいていく。 夜の帳がゆっくりと降りてきて、街のざわめきが遠のくころ。ふと窓の外を見上げると、そこには無数の星たちが静かに瞬いている。 言葉を持たないのに、なぜか「声」を聴いているような気持ちになる夜。そんな経験あ...

– 見えない想いが、日常のすき間に光る。 夜が明けて、まぶたを開いた瞬間。夢の中で見たはずの景色が、まだ心の奥に残っていることはないかな。はっきりと形を持たないけれど、消えかけの光のように、ふと胸に残っている。それはまるで「透明な夢のかけら...

– 失われたものを、心が彩り直す。 雨が上がった空に、ふと浮かぶ虹。けれどその虹には、色がなかった。ただ淡い影のように、静かに空にかかっている。 普通なら七色にきらめくはずなのに。なぜかそのときの虹は、どこか寂しげで、色をなくしてしまってい...

– 目を閉じても開いても、同じ景色が広がる。 🌙 夜の静けさの中で、まぶたを閉じたとき。半分眠っていて、半分目覚めているような不思議な感覚に包まれることがあるよね。光と影のあいだに漂うような、夢と現実の境目。 目を閉じても、開いても、同じ景色...